「昭和十七年生まれがいなくなったなら……」福井 章著 (全公開中)
昭和三十六年高校を卒業し、永谷園本舗に就職した。営業職として全国び回り、様々な経験をさせてもらった。仕事は楽しく、充実した日々であったが、昭和四十五年、独立したいと一念発起して退職し、事業を始めた。いくつかの事業を経験し、最終的に六〇席の喫茶店経営に落ち着いた。結構実入りがよく、常連客とも仲良くなるなど、楽しく毎日を過ごすことができた。ある日、年配の常連客であった名古屋大学教授から、マスターは何年生まれですかと聞かれ、昭和十七年ですと答えたところ、いずれ、あなたたちの世代もいなくなる。その時になったら、日本は再び戦争になるかもしれないと意外なことを言われた。
・・・・・(まえがきから抜粋)
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- 1. まえがき・祖母の再婚