正しく恐れる

新型コロナの国内での感染が広がりつつあった頃、「正しく恐れる」という言葉がよく使われていました。その後はあまり聞かれなくなりましたが、それでもたまに耳にすることがあります。この言葉2011年の東日本大震災での原発爆発事故の時も、放射能に対して使われていました。

正しく恐れるという表現に、ずっと違和感を感じていたので改めて調べてみると、「天災は忘れた頃にやってくる」の名言で知られる物理学者・寺田寅彦の随筆の中に出てくる文言です。しかも正確には「正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた」であって「正しく恐れる」ではないそうです。

正しく恐れる、というのであれば、「正しくない恐れ」「不正確な恐れ」というものがあるのでしょうか。恐れとはおそれること、恐怖(広辞苑)のことです。恐怖は恐ろしく感ずること、またその感じ(広辞苑)です。

正しい恐怖感っていったい何なのでしょう。例えば幽霊あるいは得体の知れないものに突然出会ったとします。幽霊を信じない人であっても、いきなり目の前に現れたものに驚いて声をあげてしまうでしょう。そんな時「恐れなくてもいい」とか「怖がることはない」という人はいたとしても、「正しく恐れなさい」「正しい恐怖感を持ちなさい」などという人はいないでしょうね。

正当は正しく道理にかなっていること(広辞苑)です。反対の不当は道理にかなっていない事となります。寺田寅彦のいった「正当にこわがることはむつかしい」というのは「怖がり過ぎたり、怖がらなさすぎる」ことが難しいという意味です。どう考えても「正しく恐れる」という事にはならないはずです。

「正しく恐れる」にはむしろ「それほど恐れることはない」というニュアンスが感じられてしまいます。

2021/01/07

日本人、外国人

 

新型コロナに関し、ちょっと気になるニュースがありました。変異種の発見を受け、出入国緩和規制を一時停止するというものです。気になったのは変異種のことでも出入国の規制緩和のことでもありません。「外国人の入国を原則拒否する」という記事の部分です。この文章から、「日本人」なら入国できるということになるのですが、ここでいう「外国人」「日本人」とはどういう意味なのでしょう。
日本で生まれ、日本で育った人を日本人だとするなら、外国で生まれ、外国教育を受けた日本人はどうなるのでしょう。中には日本語が上手ではない人もいるでしょう。また日本国籍を持っている人だとしても、生まれも育ちも外国という人もいます。両親のうちのどちらかが日本人という場合はどうでしょう。見かけは「外国人」であっても、日本語しかしゃべられない人もいれば、逆に、いかにも「日本人」といった風貌であるにもかかわらず、日本語をしゃべることのできない人もいるでしょう。最近はスポーツ界で活躍する人の中に、そうした人たちをみかけます。また日本で生まれ育って研究のために海外へ渡り、その国の国籍を取得している人もいます。しかもノーベル賞受賞者もいます。
日本人とか外国人といった区別に、どれだけの意味があるのか分からなくなってきそうです。

 

2020/12/26

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